厚労省「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称が『人生会議』に決定しました」ACPって何?

雑記
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ここ最近ACP(アドバンス・ケア・プランニング)が話題です。2018年11月には厚生労働省より、ACP(アドバンス・ケア・プランニング) の相性が「人生会議」に決定したと発表がありました。

 人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組み、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」について、愛称を「人生会議」に決定しましたので、お知らせします。
 ACPの愛称募集は8月13日から9月14日に実施したもので、応募総数1,073件の中から、愛称選定委員会により選定され、本日、愛称発表会にて公表しました。
 「人生会議」は、今後、ACPの普及啓発に活用し、認知度の向上を図っていきたいと考えています。また、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日とします。

厚生労働省

ここ最近では各疾患のガイドラインにも大きく取り入れられるようになってきており、その重要性が増しています。けれどもACP(アドバンス・ケア・プラニンング)とは一体なんなのでしょうか。

ここではそんなACP(アドバンス・ケア・プランニング) について紹介していきます。

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ACP(アドバンス・ケア・プランニング) が唱えられる社会的背景

恒例の女性
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日本は現在超高齢化社会と言われています。それは同時に、多死社会とも捉えられると言われています。

2014年年間死亡者数は約126万人を超えていて、これは2025年には約154万人、2035年には約166万人に達すると予測されています。またその死を迎える“場所”についてですが、1975年以降には医療機関にて死を迎える人の数が自宅で死を迎える人の数を超すようになり、現在では医療機関で死を迎える人の数が8割に達していると言われています。

今後は更に死亡者数は増加することが懸念されているにも関わらず医療機関の病床数増加はもはや見込めません。そのため、自身の終末期をどのように過ごすか、死を迎える場所をどこに設定するのかが今後重要になってくると言われています。

患者本人が終末期の医療にどう考えているか

仲良しのカップル
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平成29年12月に厚労省が実施した「人生の最終段階における医療に関する意識調査」では、自分が末期がんや末期心不全で最期を迎えたい場所はどこかという問いに対して約7割が自宅と答えていたそうです。これは上で述べた「医療機関で死を迎える人の数が8割に達している」と事実と大きく乖離するものです。

なぜこのようなことが起きるのかといえば、やはり患者が意思決定できているうちに自身の最期について医療従事者や家族などと話し合いができていないことが挙げられます。そのために、患者が意思決定できないほどに衰弱してしまった時にどこまで治療を進めればいいのかが、家族も医療従事者もはっきりとした判断ができないのです。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは

つまり、がんの再発や臓器不全が進行し治癒が見込めなくなった時に、終末期の過ごし方について予め考えておくこと。もっといえばどのように死ぬか、といういったところまで患者が家族や医療従事者と共に計画を設計していくこと、そのプロセスがACP(アドバンス・ケア・プランニング) と言われています。

このACP(アドバンス・ケア・プランニング) は何も終末期の過ごし方や死を迎える場所についての確認だけには止まりません。終末期や死を含めた、人生全体をどう設計していくか、という考え方になります。

例えば、患者が死亡すると本人の銀行口座は直ぐに凍結され、残された資産を直ぐに引き出すことができなくなってしまいます。けれどもこのことを知らない家族も多く、結果患者が死亡してから右往左往することになってしまうことなど日常茶飯事なのです。

そういった資産の分配に関すること、生活基盤の変化をあらかじめ予想しておくことなども含めて計画を立てていくことが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング) と覚えておく必要があるでしょう。

リビング・ウィルや事前指示書との違い

高齢の人の手
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リビング・ウィルや事前指示書は、病気のあるなしに関わらず意思決定ができなくなることに備えて、終末期をどう迎えるか希望を伝えるための書類のことを言います。よって医療機関や介護施設など、その時置かれている環境については一切関わらず、というものです。

それに対してACP(アドバンス・ケア・プランニング) は、自身が入院する医療機関の医療従事者、あるいは介護施設の介護提供者と話し合いのもとで作成されます。もちろんそれにリビング・ウィルや事前指示書を盛り込んだり、あらかじめ渡しておくことも可能です。

リビング・ウィルや事前指示書が自分自身で作成するもの、ACP(アドバンス・ケア・プランニング) は関わる医療・介護スタッフとともい作成するもの、という認識でよいでしょう。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング) は何度も繰り返し行われるもの

話し合いをする高齢者
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このACP(アドバンス・ケア・プランニング) は、何度も繰り返し行われて良いもの、むしろ何度も繰り返し行うものであると理解する必要があります。なぜなら患者の意思も家族の環境も、その時その時で常に変化していくものだからです。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング) は患者や家族、医療・介護環境の状況に応じて何が最適かを常に一緒に考えていくことであると認識しておかなければいけません。

厚労省「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称が『人生会議』に決定しました」ACPって何?のまとめ

少し不安になる画像
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ACP(アドバンス・ケア・プランニング) について、その社会的背景、患者の考える週末像、実際のACP(アドバンス・ケア・プランニング)の意味、リビング・ウィルや事前指示書との違いなどについて紹介してきました。社会的背景からもわかる通り、国としては医療費や医療資源の削減を狙い今後ますますACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念を普及させていきたいと考えているようです。

今回ACP(アドバンス・ケア・プランニング) の愛称を「人生会議」と定めたのも、その第一歩でしょう。実際に各医学学会などでもこの「人生会議」の普及について言及しているところも出てきています。

医療に携わる者としてはぜひ覚えておいて損はないことですので、ぜひ理解に努めてもらえればと思います。

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