医薬品業界の営業担当者、MRの営業コストが高すぎる?
ここ最近では医薬品業界の営業担当者・MRの働き方、宣伝のルールというものが大きな話題になっていますが、実はそれ以外の方面からも様々な指摘を受けています。その1つが、“営業コスト”です。
医薬品業界に馴染みがない方には想像もつかないでしょうが、医薬品業界の営業担当者であるMR1人に割り当てられる営業経費の額は相当高額です。説明会のお弁当や各種講演会だけでなく、様々なパンフレット1つ取ってみても、他の業界には考えられないような使い方をしているのですから。
以下はミクスOnlineの記事を抜粋したものです。
財務省主計局は4月23日の財政制度等審議会財政制度分科会に、医薬品産業の営業コスト構造に関する資料を提出し、「他業種に比べて営業費用など販管費の比率が高い」との調査結果を示した。この資料は日本政策投資銀行の産業別データハンドブック2017から引用したもの。2016年度の全産業の販売費・一般管理費の構成比が18.4%だったのに対し、製薬産業(大手8社)は50.8%に及ぶと指摘。その内訳をみると、研究開発費の31.4%に対し、宣伝費・営業費用等は64.6%と「研究開発費以外の販管費の比率が高い」ことを強調している。
ミクスOnline
医薬品業界の営業担当者、MRは生産性が低い?

担当するエリアや施設によっても様々ですが、一般的に医薬品業界の営業担当者であるMRの生産性は非常に低いと言われています。なぜなら、そもそも稼働している時間が少ないからです。
MRの多くはクリニックの待合室で面談を待つ時間を強いられたり、病院のルールによって訪問できる時間が限られていたりしています。そのため朝7時から夜の8時まで仕事で拘束されていたとしても、実際のところ稼働しているのはその半分程度ということも少なくありません。
また会社にもよりますが、担当する製剤が少ない場合そもそも面談する必要のある顧客の数が限られており、1週間に20人も面談しない場合すらあると言われています。そして実際にそういった生産性の低さという点については、過去に財務書から指摘を受けている部分でもあります。
今MRの仕事のあり方が問われている

過去に医薬品産業の営業担当者がプロパーと呼ばれていた頃、仕事の主体は夜の接待だったという話があります。1次会、2次会、3次会と朝方まで一緒にお酒を飲み、その代金を会社で建て替える。逆に日中はほとんど仕事をせずに、ひたすら寝るかパチンコをしていたなどという話も聞くくらいです。
今となってはもは都市伝説なのでは?と疑うレベルですが、それくらいの変革が、今後また起きる可能性もあるのです。
例えば今当たり前に開催されている医薬品説明会。その開催にあたり提供するお弁当について、医薬品業界に長く身を置く人にとってみれば当たり前でも、一般の人にとってみれば非常に高額で、また不思議と思われる慣習です。
また特に深いディスカッションや詳細な説明をしたかは問わない、「1日何人に自社の医薬品の名前を宣伝したか」だけで測られるコールカバー率、いわゆるSOV(シェア・オブ・ボイス)の概念も、他の業界からすると不思議な指標なのです。
そして、これからの超高齢化に伴う医療費の高騰や指摘されている営業コストの件からも、まだまだその仕事のあり方にメスが入る恐れは十分にありうるのです。
これからMRの仕事はどうあるべきなのか?

今後はますます、営業コストの節減に向けて業界全体が舵を切っていくことが予想されます。また最近ではwebサイトを介したeディテールを活用する企業も増えてきており、営業コストの内訳の比率もどんどんeコンテンツの方が大きくなっている傾向が見られます。
いわゆるMR不要論と呼ばれるものですが、ただ単に製品名をコールするだけの仕事では、そう呼ばれても仕方のないことでしょう。そこに対抗するために、しっかりと自身のエリアを分析し、効率の良い仕事の仕方を学んでいくべきかと思われます。エリアの分析については、是非ともこのサイトを活用していただければと思います。