またMRの早期退職の話題が出てきている!

ここ数年、製薬業界のリストラの話題が後を絶ちません。つい最近になってもまた、MRの早期退職のニュースが聞かれるようになりました。
2019年も始まって半分が経とうとしている中、約1,500人のリストラが発表されています。一旦はリストラの波もおさまったかと思われていましたが、やはりまだまだこの波は続きそうです。
どちらかというと対象は45〜50歳以降の従業員のようですが、この問題は決して年齢層高めの従業員だけの問題ではありません。むしろこれからバリバリと仕事をしていく若い世代にとって、非常に重要な問題となっています。
現在の若手MRの給与は、過去のMRの給与水準に比べてもだいぶ低くなっていると言われています。昇進・昇給がしにくくなっていたり、日当や手当が削られていたりという話も聞かれています。
そしてそのような中の、このリストラの話題です。一生懸命頑張ったとしてもいつまでもいい思いができず、やっと管理職になろうかという歳になってきた頃にリストラを心配しなければいけなくなってしまう。
そんなキャリアビジョンに不安を抱かないわけがありません。現に最新のアンケートでは、MRの将来への不安を感じる声が多数上がってきているというニュースもありました。
ひと昔前までは、MRといえば給与水準が高い、将来まで安定した仕事という印象がありました。MR認定証さえ持っていれば同業種への転職も容易で、転勤を言い渡されるたびに転職するといった人さえいたほどです。
けれどもそれもここ2〜3年ですっかり変わってしまっています。MRとして生き残るにあたり何をした良いのか、真剣に考えなければいけない時がきているのです。
MRの効率化とは?

MRのリストラの話題とともによく議題に上がるのが、MRの効率化というワードです。MRの非効率的な仕事の仕方、仕事のあり方というのはかなり以前から取りざたされていた問題です。
MRを経験した人なら思わず深く頷いてしまうコメントなのではないでしょうか。60分どころか2時間も3時間もただひたすら待ち続けている、といったことすら(最近は幾分マシになったようにも感じますが)聞かれるほどです。
また最近ですと医師を含めた医療従事者が自らwebで情報を取得できるようになってきましたし、それに合わせて情報のチャネルも増えてきています。またMRを擁する製薬会社も、MRによる直接面談以外の情報提供の手段を模索しています…例えばwebによる遠隔の面談や講演会、メールを活用した情報発信など、その方法も多岐に渡っています。
医師や薬剤師を含む医療従事者の情報(薬剤処方の傾向やポリシーなど)や施設の情報(病床の稼働状況や方針など)はすべて、営業支援ツールなどのもと共有されるようになっており、MR個人が情報を抱え込んで「このMRでなければこの医師・施設の攻略は困難だ!」といったことも少なくなりました。MRの情報提供のルールも変わり、宣伝するにしても添付文書通りの話くらいしかできなくなってきています。
近い将来、MRの個性はほとんど必要なくなってくることが予想されます。むしろいかに営業支援ツールやwebのシステムを効率よく使いこなし、少ない人数で今よりも大きな市場を回すことが求められるようになってくるかもしれません。
本当にMRは必要とされているのか?

この手の話になると、MR不要論が常につきまとってきます。実際にMRから宣伝を受ける医師はどう思っているのでしょうか。
アポイント制にして無駄な話をしにくるMRを極力排除したというツイッターのコメントです。このツイート自体相当過去のものではありますが、こういった考えを持つ医療従事者は決して少なくはないように感じられます。
MRの質の低下を嘆く声も聞かれました。これには2通りの意味があって、1つは純粋に薬剤や疾患の知識に乏しい、自社医薬品の添付文書のないよですらまともに話せないMRが決して少なくない、といったもの。
もう1つは逆で、ゴルフや飲み会など、仕事以外の話を一切しなくなった、というものです。MRの情報提供のルールは年を追うごとに厳しくなり、それに伴って余計な話をするMRが減ってきたという話をよく聞きます。
この議論については賛成反対と様々ありますのでここでは割愛しますが、医療従事者にも色々な考えを持つ人がいて、今までと同様に画一的な付き合いの仕方では成り立たなくなっていることを理解する必要があります。
どこの製薬会社の効率化を推し進めていますが、ぼちぼちその弊害が出てきているという声も聞かれます。今までしょっちゅう(ともすればうざいほどに)訪問してきていたMRに気軽に何でも聞けたのが、会社側のターゲットの見直しや効率化によりMRが一切施設に訪問しなくなるということは、決して少なくありません。
MRが本当に必要とされているか?このテーマについてはまだまだ議論の余地がありそうです。ただ市場も環境も大きく変わってきている中、MRも、そして医療従事者側も、考え方を変えていかなければいけない時がきているのです。
価値のあるMRとは?生き残るためにするべきこととは?

MRの市場価値が今どんどん下がってきていることは、もはや業界にいる誰の目にも明らかでしょう。転職市場においても、昔ほど簡単に転職が決まるような時代は終わりを告げているようにも感じられます。
製薬業界全体が効率化に向けて舵を切っている中、社内に導入されているシステムをうまく使いこなし、webプロモーションをはじめとする新しい宣伝の仕方を受け入れる柔軟さが必要になってくるでしょう。また医師をはじめとする医療従事者が何を求めているかをしっかりと考え、ただ単純にシェアオブボイスではないテーラーメイドな宣伝の仕方を模索していかなければいけません。
そして何よりも大事なのは、そういった変化が常に迫っていることを意識することです。新しく社内に導入されたシステムを「どうせ意味がないから」手をつけない、会社がやれというからとりあえずコール数だけ上げておく。
何も考えずそのようにただ日々を過ごすだけの仕事の仕方を続けることが、自身の価値を失う1番の原因ではないかと考えられるのです。MRとして生き残るために、自身の市場価値を高めるためにも、今後の仕事のあり方を見つめ直す必要がありそうです。